空をなくしたその先に
もうすぐ冬になろうとしている。上空の風は冷たく、甲板にいる人間は皆厚着をしていた。

例外はルッツだけだった。

この寒空の下、さすがに半袖とはいかないものの、薄いシャツの上に作業着の前をだらしなく開けてひっかけているだけ。

上背はあれど、いかにも脂肪の少なそうなひょろりとした体格なのに、寒さを感じない体質なのだろうか。


「……寒い」


ダナがぼやいた。

ルッツとは逆に、こちらは防寒着を兼ねた飛行服を着込んだ上からマフラーをぐるぐると巻きつけている。


「終わったらココア飲みに行く!」


翼の上でスパナをふりまわしながら、彼女は宣言する。


「ココアそろそろ切れるって言ってたぞ?

誰か大量に消費してるやつがいるんじゃないか?

次の補給まで我慢するしかないかもな」


整備士の一人が返した。

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