空をなくしたその先に
敵の来襲にそなえて、全員が交代で食事と休憩をとることになった。

ココアを飲みそびれたとぶつぶつ言っているダナの前に、ルッツがココア缶を見せびらかすように置く。


「帰ってきたらわけてあげるよ」

「今飲みたいのに!」


ダナはふくれてみせる。

これがルッツのげんかつぎみたいなものだとわかっている。

約束を果たすためには生きて戻らなければならない。

ダナの脳裏を、最後にヘクターを乗せて飛んだときのことがよぎった。

彼と一緒なら負ける気なんてしなかった。

今目の前にいるのは、

不安そうな顔をしたそろそろ成人の日を迎えようとしているのに、まだ大人になりきれていない少年だ。
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