空をなくしたその先に

年はさほど変わらないのに、自信にあふれていた彼とは違う。


「ディオ」


名前を呼んでみる。


「怖くてしかたないって顔してる」

「怖いんだからしかたないよ」


ディオは正直だ。

いつだって。

怖いときは怖い、不安なときは不安だと。自分の心を偽ることをしない。


「大丈夫……とは言えないけど、全力はつくすから」

「それって不安をあおってるよね」


テーブル越しに顔を見合わせて笑う。

後ろにいるのがヘクターだろうがディオだろうが、ダナの仕事にかわりはない。

敵の攻撃をくぐり抜け、無事に戻る。それだけだ。
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