空をなくしたその先に
マグフィレット軍が、敵を迎え撃つ準備を終えた頃。

敵の軍勢がその姿を現し始めた。

最初は数百あった軍用艦は、今までの交戦でその数を減らしている。

望遠鏡で敵軍を確認していたビクトールは、声をあげた。

このままいけば正面からアーティカにぶつかる一団の中。

見覚えのある艦が、悠然とこちらに向かって進んでくる。


「サラ……」


その声に気がついたのは、すぐそばにいたディオだけだった。
ビクトールの顔を見上げれば、険しい表情をしている。


「ビクトール様?」


自分の戦闘機を最終点検すると言って、ディオを甲板に残していたダナが戻ってきた。

厳しい表情のビクトールに不審そうな目を向ける。


「リディアスベイルがいるぞ」


望遠鏡を渡されて、ダナものぞきこんだ。

丸く切り取られた世界の向こうに何度となく乗った、堂々たる軍用艦が見える。

そこにいるのが誰だか知っている。

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