てのひら。
『うん、なんか〜そっちどうしてるかな〜なんて思って』
『今ご飯食べ終わったとこよ。亜里はもうご飯食べた?』
『食べた食べた♪今部屋に戻ったとこ…』
あれ…?
やばい声ふるえてる…
泣いちゃだめだ…
『あ〜、そろそろ切らないと…先生来たらマズイし、なんかごめんね』
出そうになる涙をぐっとこらえて私は言葉を絞り出した。
『いいよいいよ、何かあったらメールなりしておいで、ねっ』
『分かった〜、じゃあ切るね…』
『は〜い』
―ピッ。
話した時間といえば4、5分くらいだろうか。
ほんの一時の会話だったからこそ、短い時間が余計に短く感じた。
ツーツーと鳴る音だけが、ただただ虚しい。
溜まった涙がこぼれる前に、袖をギュッと目に押し付けて
私はぱたんとケータイを閉じた。