モノクローム


『あたし、卒業式の聖歌隊に選ばれちゃった(>_<)

しかも、練習日はあたしの誕生日からだし、卒業式の15日までずっとだよ?

旅行無理っぽい』



そんな風に入れておきながらも

ヒロが旅行を断念してくれないかな…

なんて微かに期待する。



『いいじゃん!卒業式終わってからでも。

16日から行かね?
早く決めないと、ホテル取れないよ(-_-)

そうそう、俺、今日迎えに行けなくなった。

追試と補習(*ノω・)ごめんな!』



会えなくてホッとしている自分と

旅行のことを迷う自分がいた。





「明日香、今日帰り時間ある?」

あたしは次の講義の最中、明日香にコソッと言った。


「少しなら…なんで?」


「ちょっと相談したくて」

「あたしに?」


「うん、明日香だけに」


明日香は、わかった、というように頷くと

その顔はあたしが何を言いたいか察しているようだった。


絵里にはまだ言えない。

弥生も同じように合コンで知り合った、ヒロの後輩と付き合っている。



明日香に胸の内を聞いてもらうより他なかった。
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