モノクローム


「まさかさぁ…零だっけ?あの黒の君。
あの人と関係してるの?京奈が別れたいってのと」


明日香の言葉に、あたしは俯いたまま、首を縦に振った。


「どういうこと?コクられたとか?
何、もう付き合ってんの?」


明日香が矢継ぎ早に質問を浴びせたところで

あたしはやっと顔を上げて、話し始めた。



「違うよ!全然…ただの片思い。
チョコ渡した日、ずっと電車で話して帰ったって言ったじゃない?」


あの時のことは、今日学校で既に皆に話してあった。


「なんか、好きで好きでしかたなくなっちゃったんだよね…
気付くと零のことばっかり考えてて…」


「だけど…だからっていきなり別れるってのは、早急過ぎない?」


明日香はあたしの顔を覗き込んだ。


「そうなんだけどね、苦痛なんだ…
ヒロに顔合わせたりとか…あたし、ごまかすの下手だから」


そう言うと、あたしは窓の外に目をやった。


街路樹に、かろうじてしがみついていた

最後の一枚の黄色い葉が

風に吹かれてヒラヒラと舞い落ちて行く様を見て

ふぅ〜っ、と大きく溜息をついた。
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