モノクローム
家までの道のり、あたしはブツブツと独り言を言うように歩いた。
ハァ〜ァ!
あたしって鈍臭っ!
零の前だと緊張しちゃうんだもん…
…まぁ…確かにおっちょこちょいだけど?
しかも、今日も携帯番号聞けなかった!
てか、聞けるわけないじゃん!
電車の中だしなぁ…
誰にもすれ違わなかったけど、こんなあたしを見たら
人はおかしいと思うよね…
うん、かなりキモいよ!
と心の中で自分にツッコミを入れながら、玄関のドアを開けた。
「ただいまぁ」
「あら、元気ないね。熱、ぶり返した?」
母がキッチンで炒め物をしながら振り返った。
「んなことないよ」
あたしは母に近づいて、フライパンに手を出すと
お肉を一切れ摘んで口に入れようとした。
「…アチッ!あっつー!」
お肉は口に入る前に、母の足元にポトンと落ちた。
「…っとに、アンタはおっちょこちょいなんだから〜!
拾ってよ?」
母にまで言われてしまったあたしは
ポイッと拾った肉を流しへ投げ込み
ふて腐れたようにズカズカと階段を昇って自分の部屋へと行った。