モノクローム
そこへまたヒロからの電話が鳴った。
その音がとても不愉快に感じ、重たい気分であたしは出る。
「…はい」
声にまでそれが出てしまう。
「あ…もう家…だよね」
ヒロまであたしにつられて戸惑ったような言い方になっている。
「うん…」
「どした?まだ調子悪いんか?」
「いや…大丈夫」
なんとなく雰囲気が悪いのは、気のせいじゃないだろう。
「やっぱさ、早く決めたいと思って。
今、京奈んち向かってる。
…出てこれそう?」
(会いたくないな…)
あたしは迷った揚句
「…うーん、少しならね」
と言った。
「着いたらまた連絡する。あと15分位かな」
「わかったよ」
どうしても素っ気なくなってしまう。
ヒロには関係ないのに…
ヒロは悪くないのに…
でもあたしの気持ちは
正直で
残酷で
今、ヒロのことよりも
零の方が好きになっちゃったんだ……。
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