はじまりの合図
『よろしく』
今にも消えそうなほど小さな声を振り絞っている。こんなんじゃ舞に圧倒されてただろう。
『舞〜、階違うからおもろないわ〜。ただ二階の取り柄は、ゆっこと有紗だけやんな!』
理香子は舞に寄り付き言った。舞は理香子の頭を自分の肩から離しながら、桜と腕の組んだ。
『あたしも面白くなかったけど、桜いて可愛かったからナンパした。かなり可愛いよ、桜』
『いやいや…、可愛いの舞だよ』
やっぱ舞は誰とでも合うみたいだ。じっと見ている私の視線に気付いたのか、舞は私の腕も組んだ。
『ま、なんだかんだ言ってあたしとゆうが一番仲良いよね』
得意気に言う舞は、私と桜ちゃんの腕をぎゅっとして歩き出した。
私と舞の出会いは、小学生のときだった。父親の仕事の都合で転校して来た私は、暗くてダサかったから友達は出来なかった。そして、一緒のクラスだった明るくて元気で可愛い舞に目が惹き付けられた。
ずっと目で追うような、憧れの存在で友達になりたかった過去の私。
算数では別クラスでの教室だったから、なおさら友達なんかいなかった私に舞は明るく声をかけてきた。
『どうしたの?算数、分かんないの?教えよっか』
偏見なんかしなかった優しい舞とは、それをきっかけに仲良くなっていった。