窓に影2

 私の言葉に反応をしたのは父だった。

「不安なのは歩君の方だよ。グータラな恵里が、歩君に悪い影響を与えなければいいが……」

「いやいや、桐原さん。歩だってグータラですよ。家のことなんて何にもできないですし」

 親元を離れることの大変さを理解していない私たちの考えは、そんなにも甘いものなのだろうか。

 親同士の話し合いは、それから15分ほど続いた。

 そして、

「亘君みたいに東京に行くって言ってるんじゃないんだし、いつでも帰ってこれる距離なんだから挑戦させても良いんじゃない?」

 という母の言葉に、一同はやっと静かになった。

 母はみんなを説得するように語る。

「人生一回くらい冒険も必要よ。借金して会社を興すとか言ってるわけじゃないんだし、同棲くらいちっぽけな冒険じゃないの。この二人が将来どうなるにしても、いい勉強になるんじゃないかしら」


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