窓に影2



「歩ー! もう12時だよ」

「ゲッ! マジ?」

 慌ててネクタイを結んでいる歩を、ダブルベッドに横たわりながら眺める。

 ストライプのスーツに、紫のシャツ。

 紅色系のネクタイ。

 彼と出会って15年にして、初めて見たスーツ姿。

 口には出さないが、超カッコイイ。



 なぜ歩がスーツなのかというと、今日はK大の入学式なのだ。

 私は髪をセットしている歩の後ろに立ち、携帯を構えた。

「歩」

 振り向いたところでカシャッ。

「何だよ?」

「カナママにスーツ姿を送ろうと思って」

 間抜けな顔をして写る画像を見てにやけると、歩は眉間にしわを寄せた。

「撮るならもっと男前に撮ってくれる?」

「十分男前だよー」

「嘘つけ。その顔でわかるんだよ。大体その角度じゃスーツかどうかなんてわかんないだろ」

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