ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
程なくして魔物の姿も現れ出でる。

私はここで無意識のうちに、自分の息を止めていたことに気が付いた。

相手からはこちら側が見えないと分かっていた。が、こちらからは相手の姿がはっきりと見えているのだ。そのことが緊張感を更に高めさせていた。

「いないぞ、人間」

「声が聞こえた」

「何処へ行った?」

「向こうか?」

「カタカタカタ…」

「そうだ。戻るか」

「カタカタカタカタカタカタカタ…」

「では戻ろう」

ケンタウロスたちは口々にそう言うと、間もなく引き返していった。残ったのはスケルトン・キラー5〜6体だけである。

にしても、ケンタウロスとスケルトン・キラー。

両者間で会話が成立していたような気もするが、気のせいだろうか。スケルトン・キラーなど私から見れば、ただ身体の骨を鳴らしていただけにしかすぎなかったのだが。

それとも魔物の間では、それで会話していることになるのか。全くの謎である。

私がその疑問に悩んでいる間にも、スケルトン・キラーは岩壁の一角へ、徐々に集まりつつあった。
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