ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「痛っ!」

思わず顔を顰めて前腕部分を押さえた。痺れるような感覚もある。

防御のため、服の下には籠手を装備していた。といっても剣士など近距離攻撃者のように頑丈なものではなく、丈夫な布に金属を埋め込んだ程度の代物ではあるが。

それでもある程度の衝撃は防げるはずだったが、痛みはその下からきているようだ。

(さっき魔物にやられた時にでも、痛めたのかな)

腫れ具合を確認するため、私はその場で籠手を外してみた。

「え? 何コレ??」

見るとその内側中間付近には、丸い形をした痣のようなものが浮かび上がっていた。

大きさはこぶし大ほどで、円形のケーキに中心から上に向かってナイフを1本入れただけのような、単純な形の紋様をしている。

「あ! エリスさん、それ〜」

エドが呆然とした顔で私の痣を凝視すると、同様に自身の左袖も捲ってみせた。

「実は僕もさっき〜エリスさんと同じ場所が突然痛くなって〜、見たら〜こんなものが腕に〜付いていたのです〜。今は痛みが〜引いたのですが〜」

そこに現れたのは、私と同様の痣だった。しかも同位置に浮かび上がっている。

勿論意識を失う前には、そのようなものはなかった。となれば、考えられる原因は一つしかない。

「やっぱりコレって、さっきの魔物が付けたってことよね」

私は腕にある紋様を見詰めながら、眉を顰めた。
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