ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
カタトス町の中央を横断するかのように、1本の広い通りは存在する。
多少活気のある町ならば何処でもそうなのだが、大きな通りという場所は露天が両脇に建ち並び、賑わっているものだ。
現在私たちは、そこから外れた裏通りを歩いていた。
この道は大通りほどではないがそれでもいくつか店があり、店先の匂いに誘われた買い物客などでそれなりに賑わっていた。
いつもならそれらを巡り、売り物など心を躍らせながら見て回りたいところなのだが、今はそんな気分ではない。
私は肩を落とし、溜息を吐きながらエドと一緒に歩いていた。
「エリスさん〜落ち込まないでください〜。いくら調べても〜分からないものは〜仕方ないと思います〜」
「それはそうなんだけど」
あの後、先に入り込んだ私たちのせいで中位クラスの魔物には逃げられたのだと、隊長からはクドクドと説教された。
その時に一緒に聞いた話では、大量のスケルトン・キラーの残骸と、さらわれた人たちの物とおぼしき衣服や小物類が、洞窟の中に残されていたらしい。
そこから推測するとどうやら中位クラスたちはあの洞窟で、スケルトン・キラーを製造していたのではないかというのだ。
マクガレー隊長によれば、勢力拡大のためにそういったことを行う魔物もいるという話だった。目的など詳しいことは不明だが、これから調査するという。
本当なら妨害工作をしたということで重罪になるところだが、私たちがまだ巡礼者だということもあり、厳重注意だけでお咎めなしだった。
かなり甘い処分のようだが、「討伐隊の到着が遅れたから」というのも理由の一つだと思う。
「何故遅れたのか」という訳までは、訊ける雰囲気ではなかったから訊かなかったが。