ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「この方は〜討伐隊の隊長さんなのです〜。僕はこの方に〜エリスさんを早く起こすように〜頼まれたのですよ〜」
「中位クラスの魔物に遭遇したと聞いたが、何処にも怪我はないようだね。しかも殺されずにすんだなんて、君たちは実に運がいい!」
おじさんは角張り気味のロマンスグレーな顔で爽やかに笑いながら、私とエドの間に割って入った。
「私はカタトス町支部から派遣されてきた、討伐隊隊長のフランツ・マクガレー。
リーヴォン王国第5騎士団長も兼任しているんだ。もっとも、本職は後者のほうだけれどね」
にこにこと愛想笑いを浮かべつつ、マクガレー隊長は私に握手を求めてきた。
「我が騎士団は魔物討伐に派遣されることが多くてね。入団希望者も、その生業を希望する者が大多数を占める。
だからこちら側としても、それなりに腕の立つ者を団員として募集したいわけだけれど…」
私は差し出された手を握り返しながら、隊長のどうでもいい話に適当な相槌を打っていた。それでも彼は笑顔を崩さず、一方的に喋り続けている。
「……ところで君たちは討伐隊が今日、ここへ来ることを知っていたそうだね。
なのに何故我々が到着する以前に、この洞窟の中に居たのだね?」
ここで私は初めて気が付いた。
マクガレー隊長の持つダークグレーの瞳の奥が、全く笑っていなかったということを。
「中位クラスの魔物に遭遇したと聞いたが、何処にも怪我はないようだね。しかも殺されずにすんだなんて、君たちは実に運がいい!」
おじさんは角張り気味のロマンスグレーな顔で爽やかに笑いながら、私とエドの間に割って入った。
「私はカタトス町支部から派遣されてきた、討伐隊隊長のフランツ・マクガレー。
リーヴォン王国第5騎士団長も兼任しているんだ。もっとも、本職は後者のほうだけれどね」
にこにこと愛想笑いを浮かべつつ、マクガレー隊長は私に握手を求めてきた。
「我が騎士団は魔物討伐に派遣されることが多くてね。入団希望者も、その生業を希望する者が大多数を占める。
だからこちら側としても、それなりに腕の立つ者を団員として募集したいわけだけれど…」
私は差し出された手を握り返しながら、隊長のどうでもいい話に適当な相槌を打っていた。それでも彼は笑顔を崩さず、一方的に喋り続けている。
「……ところで君たちは討伐隊が今日、ここへ来ることを知っていたそうだね。
なのに何故我々が到着する以前に、この洞窟の中に居たのだね?」
ここで私は初めて気が付いた。
マクガレー隊長の持つダークグレーの瞳の奥が、全く笑っていなかったということを。