私、海が見たい
二人並んで展望台へ続く坂道を
歩いていた。
途中、若い夫婦と子供の家族連れが、
上から降りてきた。
“俺達2人は、
この夫婦にどう見えてるのだろう”
中村は、横の恵子を意識して歩きながら、
考えた。
“夫婦だろうか?
それとも、恋人かな”
見ると、3歳位の子供が手を引かれて、
ヨチヨチ歩いている
子供を目で追う中村。
恵子を見ると、恵子も子供を見ていた。
通り過ぎた後、恵子に、
微笑みながら話し掛ける。
「かわいいね」
少し間があいて、答えが返ってきた。
「そうね………」
恵子に、笑顔は無かった。
不思議そうに恵子を見る中村。