私、海が見たい

二人並んで展望台へ続く坂道を
歩いていた。

途中、若い夫婦と子供の家族連れが、
上から降りてきた。

“俺達2人は、
 この夫婦にどう見えてるのだろう”

中村は、横の恵子を意識して歩きながら、
考えた。

“夫婦だろうか?
 それとも、恋人かな”

見ると、3歳位の子供が手を引かれて、
ヨチヨチ歩いている

子供を目で追う中村。

恵子を見ると、恵子も子供を見ていた。

通り過ぎた後、恵子に、
微笑みながら話し掛ける。

「かわいいね」


少し間があいて、答えが返ってきた。

「そうね………」


恵子に、笑顔は無かった。

不思議そうに恵子を見る中村。

< 113 / 171 >

この作品をシェア

pagetop