勇者は僧侶のなんなのさ
「と、いうわけなんだ。はい、報告終わり」


「分かった」


怪我をした警備員の手当を終えた後、ギルドへ戻ってランスに事後報告をした。


ランスはギルド長用の豪華な席に座り、机に両肘をつけて話を聞いていた。


どこからどうみても、小娘が気取っているようにしか見えない。


ギルド長のくせに「威厳」などという言葉とは全く無縁のランス。


別にそれが良いとも悪いとも言えないが、状況を知らない人間が見ればふざけているのかと思われそうだ。


「フェイもシサも怪我はないか?」


「もちろん! 丈夫に出来てるからね、僕達」


「そうか」


ランスはニコリと笑った。


「僕達?」


シサが首を傾げる。


「丈夫に出来てるのはフェイ。私は普通に出来ている」


「そ、そうだね」


正直、どうでもよかった。


「それで、ランス」


「分かっている。ミュの待遇をなんとかしないとな」


ランスは腕を組んで唸った。


「実際、難しいところだ」


「どうして?」


「一応ミュは被害者ではあるが、同時に重要参考人でもある。保護すると同時に尋問もしなければならない。あまり良い待遇をしてはいつまでたっても口を割らない可能性があるからな」
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