勇者は僧侶のなんなのさ
シサは読んでいた本を、音をたてて閉じた。
「あ、邪魔してごめん」
「聖職者の立場から言えば、神より与えられた使命を果たす事。そこに生の喜びが与えられる」
シサがいつもと違い、頬を優しくあげる笑顔を浮かべた。
全てを忘れ去ることが出来そうな笑顔で、ひざまずきたいような気持ちになる。
普段の言動からは忘れがちだが、シサもれっきとした司祭。
これまた普段の言動からは想像出来ないが、個室を与えられる上にギルドの密偵として教会から直々に派遣されている。
「流石は司祭様、と言った所かな」
「他にも娘の立場や女の立場、雌の立場などもある」
「そうなんだ」
なんとも無益な情報。
「大事な事は二つ。一つは、立場によって生の喜びは変わる。万人普遍な喜びなど無い」
指を一本立てたシサ。
「そしてもう一つ。生の絶望はその無価値性。逆に言えば生の喜びは有価性にある」
「簡単に言うと?」
「誰かに必要とされる事、突き詰めれば生の喜びはここに集約される」
なるほどと思うような事を言う。
考えて分かる訳では無いが、感覚で分かる気がした。
「昔を思い出す?」
「あ、邪魔してごめん」
「聖職者の立場から言えば、神より与えられた使命を果たす事。そこに生の喜びが与えられる」
シサがいつもと違い、頬を優しくあげる笑顔を浮かべた。
全てを忘れ去ることが出来そうな笑顔で、ひざまずきたいような気持ちになる。
普段の言動からは忘れがちだが、シサもれっきとした司祭。
これまた普段の言動からは想像出来ないが、個室を与えられる上にギルドの密偵として教会から直々に派遣されている。
「流石は司祭様、と言った所かな」
「他にも娘の立場や女の立場、雌の立場などもある」
「そうなんだ」
なんとも無益な情報。
「大事な事は二つ。一つは、立場によって生の喜びは変わる。万人普遍な喜びなど無い」
指を一本立てたシサ。
「そしてもう一つ。生の絶望はその無価値性。逆に言えば生の喜びは有価性にある」
「簡単に言うと?」
「誰かに必要とされる事、突き詰めれば生の喜びはここに集約される」
なるほどと思うような事を言う。
考えて分かる訳では無いが、感覚で分かる気がした。
「昔を思い出す?」