勇者は僧侶のなんなのさ
次に冷蔵庫の上にある棚から、透明な液体の入った瓶が出て来る。


最後に、カウンターの下から銀色のシェイカーが姿を現した。


後は見慣れたシェイク。


興味を失ったので、人の少ない店内をぐるりと見回してみる。


床に塊になった埃を見つけた。


他に一人だけいる男性客は、先程と変わらない様子で酒をのんでいる。


時折遠くを見るような目つきで前方の壁を眺めていた。

店内に流れるのは古い音楽で、ゆったりしたメロディに穏やかな男性シンガーの歌声が聞こえる。


「お待たせしました」


黄色いカクテルが軽やかな音を立てて目の前に置かれた。


「野菜カクテルです」


ただ一言説明すると、クロスは再び置いてある白い大皿を手に取った。


出されたカクテルを手に取り口へ近づけると、甘酸っぱい匂いがする。


一口含んで、再び置いた。


口の中に青臭さとアルコールの熱さが一緒に広がる。


急いで飲み下すが、口の中に食感と匂いがこびりついた。


今日はこの一杯を飲み切るくらいに閉店時間となりそう。


そんな事を考えていたら、ドアが外れそうな勢いで開いた。


ドアを開けたのは、茶色の髪をポニーテールにしている、背の低い貧乳少女。
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