溺愛コンプレックス
私は川面に視線を戻した。
別に見慣れた川なのに、なぜか胸がきゅんって懐かしい気持ちになる。


「こんな何でもない一瞬が、すごくきれいだって思うのって…なんでだろうね」


私はぽつりと言った。
カナメが薄く笑って、こう答えた。

「ツバキが今を幸せに生きてる証拠だよ」


「そっか…」


しばらくして、カナメがこっちを見つめてることに気づいた。

「ツバキの髪、夕陽で金色に見える。綺麗だね」

さっき私が思ってたのと同じことをカナメが口にしたから、私は笑ってしまった。


「何だよ?俺、変なこと言った?」


「ううん、やっぱ私たち、キョウダイだなあと思って」


カナメは、何だよそれ、と少し困ったように笑った。

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