溺愛コンプレックス
「ツバキ、どうせ遅くなったからちょっと寄り道していかない?」
カナメが不機嫌な顔から、いつもの笑顔に戻った。
私はそれだけで嬉しくて、笑顔で頷いた。
私たちは近くを流れる小さな川の河川敷に来た。
ちょうど夕日が水面を反射してオレンジ色にキラキラ輝いてる。
「わ~きれいだね!」
私は河川敷の土手に腰を下ろした。
隣にカナメも座る。
「うん、こういう風景ってホッとする」
反射した夕日がカナメの色素の薄い柔らかな髪を金色に染めた。
綺麗で優しい、私の自慢の弟。
さっき聞いてきた好みのタイプ、カナメみたいな人だよって言ったら驚くかな。