溺愛コンプレックス
「カナメ、ゲームしよ。あの対戦するやつ」

私は風呂から上がるなり、カナメの部屋に乗り込んだ。

「いいけど、その前に」

そう言って、カナメは私の腕を引っ張って床に座らせると、タオルで濡れたままの私の髪をガシガシと拭いた。

「何回も言ってるだろ、風呂上がったらまず髪乾かせって」

そう言いながら、今度はドライヤーで乾かしはじめた。

「自然乾燥でいいよー」

「風邪ひくだろ?髪も傷むし。せっかく綺麗な髪なんだから」

美容師みたい、とおもいながらドライヤーの温風の心地よさを楽しんだ。


今日は遅くまでゲームして、そのまま寝ちゃっても、カナメが部屋のベッドまで運んでくれる。
朝もカナメが起こしてくれるし、髪のセットだって時々やってくれる。


これが私の日常。
カナメがいなきゃ何もできない私の現状。

< 12 / 63 >

この作品をシェア

pagetop