溺愛コンプレックス
振り返ると、女の子が泣きそうな顔で立っていた。

その視線の先には…

(カナメ!?)


「いないけど。気持ちは嬉しいけど…ゴメン」


カナメは気まずそうに謝る。


「お姉さんがいるから?」


女の子は少し口調を強めた。


「……」


黙り込むカナメ。


「ダメなお姉さんの面倒見るからそれどころじゃないってこと?…変だよ、キョウダイなのにベタベタして!ほっとけばいいじゃん!」


言われ放題のカナメは、それでも何も言わず謝るだけだった。


「ゴメン…」


女の子は泣きながら走り去った。
カナメは大きくため息を一つして、自分の教室に歩いて行った。

「…わかった?これが現実よ」


アキナの言葉に、私は何も言えずただ涙をぼたぼたと落とすだけだった。


私は、カナメにとって最大のお荷物なんだ。
カナメが好きなように生きるのを邪魔してたんだ。
それをずっと気づかずに、当たり前のように暮らしてたなんて…。



私ってホントにバカだ!



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