溺愛コンプレックス


ぼすっ


頭の上からジャージが降ってきた。



「よかった授業には間に合った」


そこには私の1コ下の弟カナメがいた。


スラリと伸びた手足に、端正な顔立ち。笑顔にはまだ少しあどけなさが残るこの少年は、私の自慢の弟カナメ(15)。


カナメは髪をかきあげながら微笑んだ。

「昨日たたんで部屋に置いとくから忘れるなって言ったろ?」

「うん…夜までは覚えてたんだけど~」


まあ体育に間に合ってよかった、と告げて私の頭を軽くたたくと、カナメは自分の1年の教室に戻って行った。


外見で目立つカナメは去り際の廊下でも色んな女子生徒から注目を浴びていた。

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