溺愛コンプレックス
昼休みのチャイムがなった。

私は急いで1年生の教室に向かう。

『1-A』のプレートが貼られたドアを開け、近くにいた女の子に声を掛けた。

「あの…カナメ、いる?」

女の子はけげんそうな顔で私を見た後、「カナメく~ん、お客さんだよ」と甘い声で教室に向かって叫んだ。

「ってか、カナメ君のお姉さん?」

そう聞かれて、私は無言でうなずく。

「カナメ君に愛想尽かされたんでしょ。それでも会いに来るなんて、しつこくないですか?」

その声には、明らかに悪意がこもっていた。

こんな時も、いつもカナメがかばってくれてたから、私はどうしたらいいかわかんない。
下を向くしかなかった。


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