溺愛コンプレックス
「では、次回は一週間後のこの時間に」

レン先輩が抑揚のない声で解散を告げた。

私が教室を出ようとすると、レン先輩が私を呼び止めた。

「少しは成長したか?もう後輩もいるんだから、いつまでも周りのお荷物になるなよ」

カチン!

何その言い方!あんた何様よ?!

「私は…」


言い返そうとしても言葉が出てこない。だって自分でも成長してないって分かるもん。

その時、私の目の前にカナメの背中が現れた。

「ご心配なく。弟の俺がついてますんで去年みたいに先輩の足をひっぱるようなことにはなりませんよ」


「へえ、君か。『王子様』って呼ばれてる1年生っていうのは」


「女子が勝手に騒いでるだけでしょ」


なんかピリピリした雰囲気。なにこれ…ちょっと怖い。

「確かにその様子じゃ、君のお姉さんにとっては王子様かもな」


レン先輩は私を見てくすっと笑った。

なんなのよ!感じ悪い。
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