溺愛コンプレックス
「ツバキ、帰ろう」


カナメが私の肩を抱いて踵を返した。
やっぱりいつもの優しいカナメじゃない。
冷たく怒っている顔だった。

帰り道、いつものようにカナメは私のかばんも持ってくれて、肩を並べて歩いた。

「ね?レン先輩って怖いでしょ?ちょっとカッコイイからって調子乗ってんのよ、きっと」

「かっこいい…か。ツバキはああいうタイプが好みなの?」

突然の質問に私は少し驚いた。

「タイプじゃないと言えばうそになるけど、大事なのは人間性よ!ありゃー絶対ダメだわ」


ふーん、と少し不機嫌そうにカナメは返事をした。

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