Dragon Fang
どうやら、この中で一番血の気が多いのはあたしらしい。
タキは『僕』と『俺』を使い分ける。
どちらが本物にせよ、あたしは見届けるまで。
「…てな訳で、出てけ。」
周りの人は指示された通りに外に出て行く。
残されたのは、あたしとタキだけ。
「この前は助けてくれてありがとう。」
柔らかな笑顔を向けてくる。
「どういたしまして。」
丁寧に返してみた。
そんな会話をしながらも頭で違う事を考える。
…「理科室に」と言った夏弥もグル?
それは直ぐに消去された。
「虎の総長には、『俺と良壱は理科室にいる』って流したんだけど。まさか、那瑠ちゃんが来てくれるとは思わなかったな。」