ファーストキスは蜜の味。

――…バチンッ


「最低っ!!!!」

頬を叩く音があたりに響いた。


もちろん、あたしたちじゃないよ!?

声の主は女。

その方向に顔を向けると、隣の家の玄関先で、恭兄と女の人が立っていた。

女の人は肩までの茶髪をキレイにまとめあげて、うっすら化粧をしているだけなのに、大人な顔立ち。

目頭には悔しさからか、涙が浮かんでいる。


背の高い恭兄と並ぶと、まるでモデル同士の恋人。


痴話喧嘩なのか、ただならぬ雰囲気の二人は、あたしたちの存在に気づいた。




チクンッ


まただ……

あたしの心臓は、針で刺されたかのようにイタイ。

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