君の瞳に映る色
ありえないことを言われて
棗は耳を疑う。
玲に腕を掴まれ思わず、
やだ!変態!と叫んだ。
誰が変態だよ、苦笑いしながら
玲は棗の腕を力ではがしていく。
切羽詰まっていたとはいえ
この男の手を取ったことを棗は
もう後悔する。
なんとか身体を捩ってみるが、
「暴れるとドレスが落ちるぞ。
まぁ、俺は別にいいけど?」
と、笑って言われて逆に
動くこともできなくなる。
大人しくなった棗のドレスの
リボンを取り、器用に棗の
後ろに手を回して玲はそれを
結んだ。
取れかけのヘアピンや生花を
勝手に玲は取っていく。
癖のない棗の髪はするりと解けて
肩に落ちた。
乱れた髪を手櫛で梳かすように
玲は棗の髪に指を通す。
月の淡い光が棗の瞳や肌や髪を
柔らかく照らしていた。
俯いたままの棗の頬には長い
睫毛が影を作っている。
ぞっとするほど綺麗だった。
「…ところであの男は誰?」
じっと見ていると
襲いかかりそうな衝動を押さえて
玲は聞いた。
棗は消えそうな声で、婚約者、と
呟いた。
「もしかしてお邪魔だった?」
玲は軽く笑って言ったが
棗はそれには答えなかった。
棗は耳を疑う。
玲に腕を掴まれ思わず、
やだ!変態!と叫んだ。
誰が変態だよ、苦笑いしながら
玲は棗の腕を力ではがしていく。
切羽詰まっていたとはいえ
この男の手を取ったことを棗は
もう後悔する。
なんとか身体を捩ってみるが、
「暴れるとドレスが落ちるぞ。
まぁ、俺は別にいいけど?」
と、笑って言われて逆に
動くこともできなくなる。
大人しくなった棗のドレスの
リボンを取り、器用に棗の
後ろに手を回して玲はそれを
結んだ。
取れかけのヘアピンや生花を
勝手に玲は取っていく。
癖のない棗の髪はするりと解けて
肩に落ちた。
乱れた髪を手櫛で梳かすように
玲は棗の髪に指を通す。
月の淡い光が棗の瞳や肌や髪を
柔らかく照らしていた。
俯いたままの棗の頬には長い
睫毛が影を作っている。
ぞっとするほど綺麗だった。
「…ところであの男は誰?」
じっと見ていると
襲いかかりそうな衝動を押さえて
玲は聞いた。
棗は消えそうな声で、婚約者、と
呟いた。
「もしかしてお邪魔だった?」
玲は軽く笑って言ったが
棗はそれには答えなかった。