君の瞳に映る色
時間差で思い鉄の扉が閉まると
部屋の中は痛いほどの
静寂に包まれる。
鈍い痛みを放つ指先に目をやると
血は黒く固まりつつあった。
その手で首筋に触れる。
怖いと思ったが、
嫌だとは思わなかった。
追い掛ける為にドアに
手をかけると、重たいはずの扉は
簡単に開く。
むしろ引っ張られるような感じに
棗は靴を履きかけのまま
半ば強制的に外に出た。
薄暗い廊下の蛍光灯に照らされる
目の前の影に棗は言葉を失う。
薄闇に溶けるような黒に近い髪に
切れ長の瞳、口元にはうっすら
笑みが浮かんでいる。
「―――櫂斗さん」