君の瞳に映る色


スピーカーから響く予鈴の音が
朝の教室を満たしていく。

バタバタと慌ただしい音が
廊下の奥で聞こえた。

「あ、授業!」

わざとらしい玲の言葉と共に
棗はいきなり手を引かれる。

小さい悲鳴を上げながら
生徒会室を飛び出していく玲に
引っ張られて棗も生徒会室を
後にする。

いきなりのことに唖然としていた
樋野と瑠璃はお互いの視線を
見合わせた。

肩をすくめる樋野に、
瑠璃は苦笑いした。

「なんだよ、あれ」

「西園寺さん、幸せそうです」

2人が去った後を見つめながら
瑠璃が呟く。

言われてみれば、ツンツンした
感じがなくなっているような、
そんなことを思いながら
樋野もドアの方を見つめていた。





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