君の瞳に映る色
切れ長の瞳が棗を見つめる。

流れ込んでくる闇の色が紅茶色の
瞳を鮮やかに際立たせる。
吸い込まれるような
その瞳から目を逸らせない。

その目がふっと細くなる。

「じゃぁ、もう一回する?」

不自由な姿勢でソファーに
のっていた棗の身体は簡単に玲に
引き寄せられていく。

さらに密着した身体に
玲の体温が直接伝わってくる。

玲のシャツからは
バニラのような甘い香りがした。
心臓が壊れそうなくらいの
速さで動いている。

逃れようともがけばもがくほど
手や腰をからめとられて
身動きが取れなくなる。

「お嬢様、顔、真っ赤」

乱れて顔にかかった棗の髪を
玲は手で掻き上げた。
楽しげに笑って
玲は棗を見つめる。

さっきより間近にいる玲に
棗はどうしていいか
分からなくなる。
無理やりに身体を捩って
顔を背けた。






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