君の瞳に映る色
「あんたのバカ理論にわたしを
巻き込まないで!」

「…くくっ」

怒る棗を気にもしない様子で
玲は声を殺して笑い始めた。
わけがわからず棗は
呆然と玲を見つめる。

見てて飽きないな、そう言って
玲は再び棗に手を伸ばす。
触られる前に棗はその手を
払い除けた。

「失礼な男ね!」

立ち上がろうとする棗を
玲の腕が強く引き寄せる。
バランスを崩した棗は
次の瞬間には玲の腕の中にいた。

「その態度、俺の手で
変えてやりたくなるなぁ」

耳元で低く玲が囁く。
ゾクリと身体が震えた。

「っ…余計なお世話よ!」

がっちり抱きすくめられ身動きの
取れない棗は、それでも必死に
玲の胸を手で押しながら何とか
逃れようともがいた。

「照れるな、照れるな。
キスまでした仲じゃん」

「キ…!?してないわよ!
アレはあなたが勝手に…
な、…舐めたんでしょ?!」

思わず顔を上げた棗の
すぐ前に玲の顔があった。
心臓がうるさいくらいに
鳴っている。





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