君の瞳に映る色
視界の端に車から降りてくる
柊の姿が見えた。

こちらに気付いたのだろう。

車に向かおうとして
棗は足をとめた。

瑠璃を見ると視線に気づいたのか
瑠璃も棗を見た。

「…ついてきなさい」

「え!?」

戸惑う瑠璃を置いて
棗は歩きだす。
困惑しながらも
瑠璃はその後を追った。

「お疲れ様でございます」

柊が頭を下げる。

「おまたせ。…乗って」

棗は後ろにいる瑠璃を
振り返った。
瑠璃は驚いて目を丸くする。

「送ってあげるわ」

その言葉に瑠璃は首を
左右に振りながら慌てて言った。

「い、い、い、いいですよ!」

「…早く乗りなさい」

有無を言わせぬ棗の強い口調に
瑠璃は固まってしまった。

チラリと遠慮がちに車を見る。

ピカピカに磨かれた
黒塗りの車。
リムジンのようにその車体は
少し長くなっている。

柊がどうぞ、とドアを開ける。

それでもまだ立ちつくしていたが
棗に急かされて
瑠璃は車に乗り込んだ。




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