君の瞳に映る色
玲は樋野たちを追い払い
1人で廊下を歩いていた。
むしゃくしゃする気分を
抑えきれず拳で壁を叩く。

廊下を歩く生徒達は
いつもと様子の違う玲を
目を丸くして見た。
ただその雰囲気に圧倒されて声を
かけてくるものはいない。

玲は深い溜息を吐いた。

あのままモノにしようと思えば
できたのに、
なぜそうしなかったのか
自分でもよくわからない。

棗には自分の暗示はまったく
効かないようなので
拒絶されるのは
仕方のない事かもしれない、
頭の片隅で思いながらも
キスをして吐かれたことに
思いのほか傷ついていた。

女に拒絶されるのも初めてなら
キスをして吐かれるのも初めてだ
苦い気持ちでまた溜息を吐く。

美術室の隣にある資料室の扉を
玲は開けた。

そこは本棚の密集した狭い部屋で
通常の教室の半分くらいしか
広さがない。
高い圧迫感のある本棚の間を抜け
左右を見ると隅の低い棚に
女生徒が腰掛けていた。





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