君の瞳に映る色
棗は自分を掴んでいた
樋野の姿を思い出した。
男に興味はないと玲は
言っていたからおそらく樋野は
血を吸われたわけではない。
そう思うと少し安心した。

「瑠璃」

棗は瑠璃の方を見て足を止めた。
それに合わせて瑠璃も足を止め
棗を見る。

「敬語じゃなくていいわ。
…同じ年なんだから」

そう言って再び歩き出す。

その後ろ姿を目で追いながら
瑠璃は顔を綻ばせた。
少し棗が心を開いてくれたような
気がした。

瑠璃が入ってこなければ確実に
自分はあの男の手に落ちていた、
そう考えるとゾッとする。
だけど最終的にあの男は自分を
見逃したんだろうか、それとも
ただの気まぐれか…。


廊下に吹き込む乾いた風を身体に
受けながら棗は考えを巡らせた。





< 98 / 352 >

この作品をシェア

pagetop