世界と僕は戦っている きっと世界が勝つだろう
「…あのね、あの子…ここから向こう側へ行って救われたのかな?」

「それ、疑問じゃなく明確な、安心出来る答えが欲しいだけだろ?」

「…ごめん」


 突っぱねる気はなかったけど思いの外キッパリと言い切ってしまったようで森川はしょげて俯いた。

 俯く頭を追って肩口にある髪の毛がサラサラ流れて顔を隠す。

 ブラインドのように隠す髪の毛で森川の表情は見えないが…正直に言って見えなくて安心した部分もある。


「答えなんて人の数だけある。
だからフェンスの向こうを選んだんだろ」


 やっぱり彼女の気持ちが分からない俺はそう言って自分と森川を納得させた。


 無理にでも納得して飲み込まないといけない、そういう事が増えてきたと思う。

 きっと中学生なら喚き散らし、小学生なら地団駄を踏んで、幼稚園生なら泣きじゃくって済んでいた。


 だけど、俺は、俺達はそんな小さな抵抗さえできず無抵抗のまま受け入れないといけないところに来てしまったのだと思う。


< 4 / 14 >

この作品をシェア

pagetop