世界と僕は戦っている きっと世界が勝つだろう
 今思えば彼女はそういう事に対して徹底的に抵抗していた。

 無理に状況を飲み込もうとはしない。
 何があっても自分の納得がいく答えが出るまで足掻いていた。

 それで誰かが傷付き、大人に注意されたりしても、だ。


 傍から見れば大人げなく利口ではない振る舞いだ。

 だけど最後まで抵抗し続けた。


 きっと彼女にとってのその結果が『フェンスの向こう側』だったんだろう。

 そこに行きつくまでの理由は分からないままだけど。


 吹き晒しの屋上でふたりでじっと空を眺める。

 あの日のように世界は色鮮やかでない。

 それは秋だからという理由じゃなくもっとメンタル的なもので。

 褪せて見える世界はきっと俺の心のせいなんじゃないだろうか。
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