世界と僕は戦っている きっと世界が勝つだろう
 とても遠くに感じる風景に俺は一歩一歩と歩みを進める。

 徐々に近づく緑色のフェンスは真新しい。

 彼女の一件があってから新たに学校が設置したものだ。
 その前にもあったがこんなにも頑丈で背の高いものではなかった。


 緑の網目から覗けばグランドが見下ろせる。

 5階分の高さは思ったよりも怖くなかった。


「そりゃあこの高さなら、向こうに行くよな」

「納得したような事言わないでよ」


 ぼんやりとごちた言葉を森川が拾う。
 キツイ語調の声と背中に感じる視線が痛かった。


 そう感じると二の句は継げない。
 二人きりの屋上に冷たい沈黙のカーテンがかかる。

 しばらくそのカーテンの下に二人でいるとポツリと森川が呟いた。
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