月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で
「だってあたしはあの4人の飾りみたいなものだもの」

言葉とは裏腹に、由美の表情や口調には卑屈なものがまったくなかった。

「それにあの4人と変に馴れ合いたくないしね」

「馴れ合いたくないって…」

達郎は先ほどの『味方じゃない』という台詞を思い出した。

由美は天堂の恋人だ。

しかし由美には4人と一線を画そうという意思がはっきり見える。

達郎はふと知りたくなった。

「佐伯先輩は天堂先輩たちと、どうやって知り合ったんですか?」
「聞きたい?」

「いえ、別に話したくなければ…」

再び身体をすり寄せてくる由美に対し、達郎はまた腰を浮かせる。

「最初に声をかけてきたのは、天堂じゃなくて椎名だったの」

由美は話し始めた。

「あれは去年のことだったわ」

椎名が声をかけてきたのは校内。

あからさまなナンパ口調だった。

しかし4人組の存在は当時から有名だったため、興味のあった由美はそれとなく誘いに乗った。

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