月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で
「男女交際に関しては、4人の中じゃ一番ハデだわね」

由美に声をかけてきた事からもそれはわかる。

結果、椎名は天堂に由美を奪われるという形になったが、そのことで2人の間に遺恨は残らなかったのか。

「あったかもしれないわね。それらしいやり取り見たことないけど」

由美は他人事のように宙を眺めた。

「でも椎名ってトレーダーやってるせいか、収支には細かいのよ」

つまり由美を失ったことに対して、色々と含むことはあったはずと解釈すべきか。

達郎は唇を尖らせながら4人の関係を整理しようとした。

「警察はなんて言ってるの?」

「全員に嫌疑ありと見てますね」

不意に訊かれ、口を滑らせてしまった。

ただ、今さら隠しても仕方ないとも思った。

もう由美は達郎が警察(正確には兄)から捜査を依頼されていることを察しているだろう。

由美の真意はともかく、こちらもある程度は事実を伝えておこうと達郎は考えた。

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