永遠の片想い
「あ…絵里奈さん」


私に気付いたアツシの言葉に、シュンくんは子犬のような笑顔を見せる。


「絵里奈ちゃん」


上手く笑えない私より先に、ミサキちゃんが口を開いた。


「待ち合わせだったんですね。すいませんでした」


初めて会った時の可愛さなんて、カケラもなくて。

まるで敵を目の前にしているような、強い顔つきを見せるミサキちゃん。


「先輩、私もう帰りますね。今日バレンタインなんで、これ受け取って下さい」


笑いかけながら渡す小さな箱に、先に手を伸ばしたのは私。


「彼女の前で、よく平気で渡せるね」


その言葉に、アツシもそしてシュンくんも驚いた顔を見せる。


「悪いけど、持って帰って」
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