-境界リセット-
それは、ジュースを載せたお盆を持った店員さんの声で。
さっきの女の子と同じエプロンをしたその男性は
「かったりー」
と言わんばかりの態度でジュースをテーブルに置く。
それを合図に、ぱっとジョウの指が私から離れていった。
「こちら伝票になりまーす」
やっぱりやる気なさそうに伝票を置いて。
その店員さんは去っていった。
なんとなく気になって目で追うと、案内してくれた女の子が
「ちょっと洋輔さん!真面目にやってよ!!」
と、明らかに年上なその人に怒っていた。
男性は男性で
「うっせーなぁ。だからサツキが行けっつったじゃねぇか」
…なんて、開き直ってる。
「…変なの…」
その奇妙な光景に、
―…私は、さっきのジョウとの出来事すら忘れて…―
小さく笑った。
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