-境界リセット-
夢見昼顔 -02
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「このあと、どーする?」
ジョウのそんな声で、私は未だに言い合いをしている店員さんたちから目をそらした。
「あー…どうしよっか」
全く考えてない。
ジョウと会う、ってことにばかり気を取られて、会ったそのあとのことなんて思い付かなかった。
「あー…良かったらさ、映画でも見に行きませんか」
「映画?」
「そっ。コレ」
ごそごそ、と傍らに置いていたカバンを漁って、ジョウは封筒を取り出した。
「むりょーしょーたい券。バイト先のダチがくれたんだけどさ」
そう言いながら、ジョウは封筒を逆さまにした。
中から出てきたのは二枚の映画のチケット。
夜空の写真を背景に、「星屑ロマンチスト」というタイトル文字が踊っている。
それは確か、原作を一般公募で決めて制作したという、今話題の映画だった。
「あっ、私これ見たかったの!!」
見たいな見たいな、と思いながらも予定が合わず見れていなかった。
それが予想外の場所で見れることになり、思わず頬がゆるむ。
「まじで?良かったぁ…じゃあ、これ5時からだから、それまでどっかブラついてよ」
「うんっ」
テキパキと行動予定を決めてくれるジョウ。
流石年上というだけあって、頼りになる。
…なんて考えて、私は不意に9年前のことを思い出した。