-境界リセット-
「ジョウ、ご両親と上手くいってないんだっけ…?」
「あー…ちょっと、ね」
顔に出てたかぁ、なんて苦笑しながらジョウは頬をつねった。
むいーんと効果音を口でつけながら、伸ばす。
「ちょ、ジョウ!そんなことしたら変な顔になるよ!」
「あー、大丈夫大丈夫。元が変な顔だからー」
「ジョウ、それ全国の大学生的に回すよ」
「あはははー、え、なにそれ誉めてんの?」
誉めてんの?
…って、ねぇ…
―誉めてますよ、そりゃ
心のなかでつぶやく。
正直いって、ジョウは想像していたのよりもずっと格好良かった。
電話したときの雰囲気からして、なんとなく格好良さげな様子はしたけど。
想像以上で、今かなりびっくりしている。
背も、私より20センチくらい高そうだったし…。
そうすると、180センチくらいか。
目の前に座るジョウを観察しながら考える。
形のいい眉。
少したれ目気味の瞳。
Tシャツから覗く綺麗な鎖骨。
身体自体は細いけど、地味に腕とか筋肉ついてるしなぁ…。
解析していると、ふっと視線が合った。
「…あのさ、あんまし見つめられると照れるんだけど」
「え…?…あっ!!」
長時間ジョウを見つめていたことに気付き、慌てて顔をそらす。
店内には空調が効いているにも関わらず、顔が熱を持つ。
―どうしよう…恥ずかしい…!!
穴があったら入りたいってまさにこのことだなってなんか違う!!
混乱するあまり、思考回路がぐちゃぐちゃになる。
「…ま、いーや。俺もそれにしよっと」
黙ってしまった私をみて小さく笑い、ジョウは手を上げる。
すぐに、店員さんは来てくれた。