運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「大丈夫か?」
ジュンの彼女は、急に現れた男の言葉に震えながらうなずく。
「そうか、だったら、喧嘩の邪魔になるから、逃げてくれると助かるんだけどな。」
ジュンの彼女は、助けてくれた男の言葉を聞いて、血まみれのジュンの方を見た。
「アイツも助けてやるから、安心しなよ。だから、邪魔になるから、逃げてくれるとうれしいんだけどな。」
ジュンの彼女は、数回、助けてくれた男とジュンを交互に見ていたが、ジュンが顔で行けよとジェスチャーしたのを見て、逃げ出した。
「てめぇ~、俺達のおもちゃを何、逃がしてんだよ。」
女を逃がされた紅蓮のひとりが、助けてくれた男に詰め寄るが、一発で殴り飛ばされて、地面にうずくまる。
「お前、誰だ?紅蓮に喧嘩売ってんのか?」
別の紅蓮の男が聞いた。
「喧嘩売ってんのか・・・だって。売ってるに決まってるだろうが!!山下コウが、この喧嘩買ってやるよ。さっさとかかって来い!」
激怒のコウの叫びが、狭い路地にコダマする。