運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「なめやがって!行くぞ!」
紅蓮の男達は、我先にと、コウ目がけて殴りかかっていった。
「クソ餓鬼が、紅蓮なめやがって!」
息を切らしながら、紅蓮のひとりがつぶやく。
その視線の先には、ジュンの横に倒れているコウの姿があった。
「お前・・・勝ち目があって飛び込んで来たんじゃないのか?」
ジュンが、隣で倒れているコウに声をかけた。
「プッ!そんなもん、あるわけねぇ~よ。こいつらがムカついたから、来ただけさ。」
コウが、口の中を切ったのだろうか、血交じりのつばを吐きながら答えた。
「・・・・お前、馬鹿なのか?」
ジュンは、倒れた状態で、首だけ呆れた表情でコウを見た。
「・・・俺も、今、こういう状態になって初めて、自分が馬鹿だという事に気づいたよ。」
コウは、状況に似合わない爽やかな笑みを浮かべてジュンを見た。
「・・・まぁ・・・俺も人のこと言えないか・・・女ひとり守れない馬鹿野郎だからな・・・」
ジュンは、自嘲の笑みを浮かべる。