運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「そんなことないさ。彼女、無事逃げたじゃないか。」
コウが、ジュンに優しい笑みを向けた。
「・・・・・そうだな。・・・・ありがとう・・・山下。」
「なんだよ。気持ち悪いな。お前、そんな性格じゃないだろ?・・・・・気持ち悪いから、俺のこと、山下なんて呼ぶなよ。コウでいいよ。田村。」
コウは、ジュンに声をかけながら立ち上がった。
「気持ち悪いの、そっちかよ。普通、ありがとうの方だろ?お前こそ、気持ち悪いから、田村なんて呼ぶなよ。ジュンでいいよ。コウ。」
ジュンも、必死に体を起こし、立ち上がる。
「あと、何人残ってるんだ?」
コウが、ジュンを見た。
「コウが、不意打ちで倒した奴合わせても、3人しか倒してくれなかったから、あと7人もいるぞ。」
ジュンが、笑いながら答えた。
「悪いな、俺、人間だから。1人で3人倒しただけでも、凄いと思うんだけどな。」
「確かにな。」
ジュンとコウは、傷だらけの顔を見合わせて笑う。
「お前ら、まだ、やる気かよ。」
紅蓮のひとりが、立ち上がったコウとジュンを見て、驚愕の表情を浮かべた。