運命の歯車-不思議の国のアイツ-


「そんなことないさ。彼女、無事逃げたじゃないか。」



コウが、ジュンに優しい笑みを向けた。



「・・・・・そうだな。・・・・ありがとう・・・山下。」



「なんだよ。気持ち悪いな。お前、そんな性格じゃないだろ?・・・・・気持ち悪いから、俺のこと、山下なんて呼ぶなよ。コウでいいよ。田村。」



コウは、ジュンに声をかけながら立ち上がった。



「気持ち悪いの、そっちかよ。普通、ありがとうの方だろ?お前こそ、気持ち悪いから、田村なんて呼ぶなよ。ジュンでいいよ。コウ。」



ジュンも、必死に体を起こし、立ち上がる。



「あと、何人残ってるんだ?」



コウが、ジュンを見た。



「コウが、不意打ちで倒した奴合わせても、3人しか倒してくれなかったから、あと7人もいるぞ。」



ジュンが、笑いながら答えた。



「悪いな、俺、人間だから。1人で3人倒しただけでも、凄いと思うんだけどな。」



「確かにな。」



ジュンとコウは、傷だらけの顔を見合わせて笑う。



「お前ら、まだ、やる気かよ。」



紅蓮のひとりが、立ち上がったコウとジュンを見て、驚愕の表情を浮かべた。


< 107 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop